今日は〇〇に聞くシリーズです。
今回は急性期病院勤務後、現在は訪問看護ステーションで訪問リハに従事している
理学療法士(9年目)の方にお話を伺っております。
ではどうぞ!!
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みなさまよろしくお願いします。
医療職に限ったことではありませんが、
仕事をしていて挫折感を味わったことのある方は少なくないでしょう。
一度挫折を味わうと、立ち直るためには相当な努力と、
気持ちを入れ替える必要があります。
わたしは約9年間理学療法士として勤務してきましたが、
何度かその挫折した経験があります。
そのたびに、誰かに支えられ、立ち直ってきました。
そうして、考え方の幅が広がり、経験値も上がっていまのわたしがあるのだと思います。
そこで今回は、理学療法士・医療職として感じた挫折感や
その時の対処法について紹介できればと思います。
患者さんとのコミュニケーション
患者さんにリハビリテーションを行うにあたって、
技術云々のまえに必要不可欠なことがあります。
それは、患者さんとのコミュニケーション、信頼関係です。
患者にリハビリの必要性を理解してもらうのが大変
患者さんすべてが「リハビリは必要なこと」と理解されているとは限りません。
新人のころ、病棟に患者さんを迎えに行き、
「リハビリですのでリハビリ室へ行きましょうか」と声をかけたところ、
猛烈に拒否されたことがありました。
説得するも「わたしはリハビリは必要ない!そんな状態じゃないんだ!かえってください」の一点張りです。
まともにリハビリ介入できない日が続き、わたしは自信をなくしていました。
しかし先輩スタッフへ相談すると、次の日一緒についてきてくれることになりました。
先輩から学んだこと
先輩スタッフは患者さんのもとへ行き、リハビリではなく他愛もない会話を始めます。
患者さんが今困っていること、もともとどんな生活をしていたのか、
どんな趣味があるのか・・・等々、もともとお話好きだったのか、患者さんもよくしゃべり表情が和らいでいるのがわかります。
そして先輩スタッフは「〇〇さん、ここで話すのもなんですから、見晴らしが良いところへ案内しますよ」と病院最上階にあるリハビリ室まで誘導したのです。
リハビリ室の大きな窓から外の景色を眺めて、さらに二人の会話は弾みます。
そして、周りでリハビリに励んでいる他の患者さんたちをみて感心される様子もありました。
そして次の日から、その患者さんは毎日リハビリ室へ来て私と会話するようになりました。
時々ほかの患者さんを真似て筋トレや歩行練習もしてくれるようになりました。
まずは患者さんとのコミュニケーションを大事にすること、それが最優先なのだと学んだ瞬間でした。
スタッフ間の人間関係
私が最初の職場に入職して3年ほど経ち、
ようやく仕事にも自信がついてきたころ、職場に大きな変化がありました。
その時期法人内で大きな人事異動があり、
リハビリ・看護師ともスタッフのメンバーががらっと入れ替わったのです。
わたしはもといた病院へ留まることになりましたが、他病院にいたスタッフが一度に十数人異動してきました。
上司が変わり、先輩が変わり、同期がいなくなり、急に後輩ができて、
仕事の内容・量もガラリと変わりました。
他の病院では当たり前だったことが、私には未経験で分からないことが多く、混乱してしまったんだと思います。
困ったことがあっても相談しづらい、そんな環境に突き落とされた気分でした。
立ち直るきっかけ
その状態から立ち直れたのは、共通の患者さんを担当したスタッフと仲を深めていったことです。
ある患者さんに対して、担当PT、担当OT、担当STが付く体制になっていました。
慣れないスタッフとはなかなか話せなかった私ですが、
患者さんの話題から話をひろげて、コミュニケーションをとることができました。
一人話せるスタッフができると、次々に打ち解けられ、
半年ほどで新しい環境に慣れることができた記憶があります。
新しいスタッフと関わっていくことは、緊張します。とっても疲れます。
でもそれ以上に、新しい知識を得られたり、
自分の視野を広げることができる絶好のチャンスともいえるのではないでしょうか。
この治療…合ってるの?自分自身への自信喪失
3年目位になってくると先輩のもとを巣立って、仕事内容を任せられることが増えてきます。
新人の頃は先輩のほうからアドバイスをもらったり、問題点を指摘してもらうことが多く、
自分に足りないものを自覚することができました。
その分、解決のための方法(新しい知識の取得・手技の練習)も明確であることが多かったのです。
経験年数が上がると、、、
しかし、新人期間が過ぎると、自分で自分の足りない部分を評価しなければなりません。
「いま自分には何が足りないのか」
「自分がどう成長すれば、患者さんに還元できるのか」を考えていくのです。
その時期といえば、担当する患者さんの数が増え、
委員会や後輩指導、実習生指導など業務が増えてくるころです。
時間もない中、私はしっかりと自己分析をすることができませんでした。
経験を重ねる中でなくなる自信、、、
日々業務をこなす中、
ふと「私がしているリハビリは、患者さんにとってプラスに働いているのだろうか」
と思うことが増え、自分の仕事内容に自信がなくなっていたのです。
救ってくれた人
そんな挫折感から救ってくれたのは患者さんや先輩スタッフの声でした。
ある患者さんは「あなたが○○してくれたから、頑張ろうって思えた」
と声をかけてくれました。
またある先輩スタッフは「△△できるのはキミの強みだよね。見習わなきゃな〜」と声をかけてくれました。
「私だからできること」「自分でも得意だと思えること」を言葉にして教えてくれたおかげで、
これからどんなところを伸ばしていきたいのかを再認識させてもらえました。
誰でも自信がなくなるときはあると思います。
そんなときは「自分だからできること」を考えると、
モチベーションアップにつながると思っています。
勤務先への不満と『転職』
先にもお話ししましたが、勤務先の法人内の体制が大きく変わり、
リハビリ科の業務体制も大きく変わってきました。
リハビリのオーダー数が増加し、
リハビリ科スタッフは1日のノルマ件数が設定されました。
リハビリ業務だけでも定時ぎりぎりまで走り回ってやっと達成できるレベルで、
おひとりおひとりの病態、家族関係、生活スタイルなど、
退院に向けて必要な情報をしっかり検討し、考える時間が取れない日が続きました。
そんな業務に追われながらも生き生きと仕事ができるスタッフはいましたが、
私は徐々に疲弊してしまいました。
「私がしたいのは、もっとゆっくりひとりひとりに向き合って、退院を急がせるのではなく、安心して在宅生活を送ってもらえる手助けをすることなのに・・・」
と悩むことが増えました。
そんな中下した決意
そこで決意したのは、病院勤務ではなく訪問看護ステーションへ転職することです。
いままで築いてきたスタッフとの関係性をリセットするのは勇気がいりました。
しかし、自分がやりたいことを実現できるのは訪問リハではないかと感じたのです。
訪問リハでは利用者さんの生活スペースにおじゃまして、
より安全に長く在宅生活を送ってもらえるように支援していきます。
また期間も病院のように短期間に限定されず、比較的ゆっくりと関係を築いていくことができます。
勇気を持って一歩踏み出したことで、わたしはまたこの仕事を好きになることができました。
人との関わり、仕事の熱意が強いほど挫折感は味わうもの
誰でも、どんな仕事でも挫折感を味わうことがあります。
とくに自分の信念を持って仕事への熱意が強い人ほど、
その傾向が強いのではないかと思います。
挫折を感じたときにすぐに立ち直ることは困難です。
でも、一歩踏み出してその困難を乗り越えたときは、きっとあなたのキャリアがステップアップするときでしょう。
少し先を見据えて、なにか行動を起こしてみてくださいね。
最後に
9年目理学療法士さんの貴重な経験談でした。
環境を変えるということは決して悪いことではないんですね。
また行動することはとても勇気がいることだし、
そんな中でも一歩踏み出す大切さを考えさせられました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事がこれからの進路で悩んでいる方々の参考となれば幸いです。
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